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2012/10/17配信分

グルーバル感覚 論理思考

ブレークスルーを起こせる人財が育つ教育環境とは?

先頃、京都大学iPS細胞研究所長:山中 伸弥 教授と、高橋 和利 講師が、ノーベル生理学・医学賞を受賞というニュースが駆けめぐりました。

 

山中教授については、ノーベル生理学・医学賞の受賞以外に、世界を見据えた知財戦略の功績にもスポットが当てられています。

 

今回の【MBAホルダーの視点】では、これらの報道とは少し視点を変え、山中教授のようにブレークスルーを起こすことができる人財を育成・輩出していくためには、どのような教育環境が求められるのかを考察していきたいと思います。

 

山中教授の研究成果とは、1個の受精卵が多様な細胞に分化して、手足・骨・皮膚・神経・臓器・組織を作り個体を形成するシナリオを逆転させるために、わずかな遺伝子を組み込み、皮膚細胞から万能細胞を作り出したということです。

 

その受賞理由は、「体細胞のリプログラミング(初期化)による多能性獲得の発見」、つまり、生命のプログラムを巻き戻すタイムマシン的な技術を編み出した点にあります。

 

この技術からは、患者の皮膚からiPS細胞を作り、機能不全となった臓器を育てて移植する再生医療や、筋ジストロフィーやALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病に対して、筋肉を補強する細胞を移植して筋肉細胞の変質を抑える治療法や、アルツハイマー病やパーキンソン病患者などの細胞からiPS細胞を作り、新薬の副作用確認で開発支援する応用例が考えられます。

 

そのため、今後、派生展開によってはさらなる受賞があるかも知れません。過去にも、4人が2回ノーベル賞を受賞しているので、可能性はありそうです。

 

マリ・キュリー(フランス、1903年:物理学賞、1911年:化学賞)
ライナス・ポーリング(アメリカ、1954年:化学賞、1962年:平和賞)
ジョン・バーディーン(アメリカ、1956年:物理学賞、1972年:物理学賞)
フレデリック・サンガー(イギリス、1958年:化学賞、1980年:化学賞)

 

ここで教育環境について考えるにあたり、実際に各国でどのくらいのノーベル受賞者が出ているかを見てみましょう。

 

ノーベル賞受賞者を10名以上輩出している国を挙げてみると、興味深いことが分かります。

 

国名     :受賞者数(人口) ⇒100万人当たり受賞者数(★:多い国)
1.米国     :325名(31038万人)⇒1.05人
2.英国     :110名( 6203万人)⇒1.77人
3.ドイツ    : 81名( 8230万人)⇒0.98人
4.フランス   : 54名( 6278万人)⇒0.86人
5.スウェーデン : 31名( 937万人)⇒3.31人★
6.スイス    : 23名( 766万人)⇒3.00人★
7.ロシア(ソ連) : 20名(14295万人)⇒0.14人
8.日本     : 18名(12653万人)⇒0.14人
9.オランダ   : 16名( 1661万人)⇒0.96人
10.イタリア   : 14名( 6055万人)⇒0.23人
11.デンマーク  : 13名( 555万人)⇒2.34人★
12.カナダ    : 12名( 3401万人)⇒0.35人
12.オーストリア : 12名( 839万人)⇒1.43人
13.オーストラリア: 10名( 2226万人)⇒0.45人
13.イスラエル  : 10名( 741万人)⇒1.35人
(出典:Wikipediaより集計)

 

最も多くの受賞者を輩出している米国には、米国籍を取得した移民も数多く含まれているので、研究に適した環境と、留学生の吸引力が功を奏しているものと思われます。

 

一方、注目されるのは、人口比率で受賞者数が多い、スウェーデン/スイス/デンマークです。日本は、15ヶ国中で最も少なくなります。
スウェーデンはノーベル賞を創設した国なので当然なのかもしれませんが、なぜスイスやデンマークが多いのでしょうか?

 

その理由のひとつは、教育方針にあるのかもしれません。

 

スウェーデンやデンマークの教育方針は、自分の意見を持ち、表現して、人の意見を尊重し、議論して、決まったら従うというスタイルに定評があります。

 

米レンセラー工科大学名誉教授:アイヴァー・ジェーバー博士(1973年:物理学賞受賞)は、「化学分野のノーベル賞受賞者を輩出するには、討論し論争する文化が形成されなくてはならない。」と言います。

 

スイス人は議論好きで知られますが、スイスでは早くから職業と結びついた教育が進められています。大学での中間・卒業試験は厳しく、猛勉強する学生がほとんどです。このような教育方針と環境が、自分の目的や意見を明確にもち、討論・論争できる人物形成に役立っているのでしょう。

 

これらノーベル賞を輩出する国は、高い教育レベルだけでなく、主体的な生き方、高い表現力や議論力、人の意見を受け入れる素直さが養われる教育制度が整備されている傾向にあると言えそうです。これらがすべてではないまでも、その土台にあると言えるかもしれません。

 

その上で、山中教授のように、苦難を柔軟に独自の方法で切り開く術を持つ個人が、どれだけ豊富にいるかということが大切になってくるのでしょう。

 

そのような人財を日本国内に限らず世界中から集めてくるためにも、国としてどのように魅力的な教育環境を整備していくかが重要です。国ではなく、道州制のような形で各地域で取り組む必要もあるかもしれません。

 

諸外国の中には、数年以内にノーベル賞を獲るためのプロジェクトを進めている国もあるようです。国の成長に向けた重点戦略として人財育成を位置づけているのでしょう。人財育成は、それだけ大切なものなのです。

 

さて、皆さんは、ノーベル賞受賞者のようにブレークスルーを起こすことができる人財を育成・輩出していくために、どのような教育環境が望ましいと考えますか?



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経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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