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2011/11/22配信分

グルーバル感覚 経済原論 論理思考

TPPに求められる戦略的思考

多くのメディアを賑わしている「環太平洋経済連携協定(TPP)」ですが、野田佳彦 首相が、「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」で交渉参加の方針を表明しました。

 

【週刊ダイヤモンド:2011年11月12日号】では、「TPP狂騒曲:根拠なき反対派 VS 戦略なき賛成派」と題して、双方とも問題アリとの視点で特集を組んでいます。

 

まずは過去に「TPP」がたどってきた変遷を見てみましょう。

 

2006年 5月:「P4(パシフィック4)」4ヶ国自由貿易協定(FTA)
→小規模な経済連携
2009年11月:米・オバマ大統領が参加表明
→財政赤字/失業率への対策
2010年10月:参加9ヶ国に拡大
→日本も菅 直人 前首相が参加検討を表明
2011年 6月:日本は東日本大震災を理由に決断先送り
2011年 9月:野田首相が交渉参加の検討再開を表明
2011年11月:ハワイAPECの首脳会議で大枠合意

 

「TPP」を「第三の開国」と称して、様々な議論が出ていますが、争点が偏っていたり、そもそも誰の為の協定で、何の為に協定を結ぶのか見えない点が、「根拠なき反対派 VS 戦略なき賛成派」といった印象を感じさせるのでしょう。

 

MBAホルダーがこのように総論・各論が混在するような大きな問題を考える場合、誰の為なのか、目的は何なのかを確認する為に、全体を俯瞰してみます。

 

例えば、「TPP」を俯瞰している書籍として、【TPPが日本を壊す】廣宮 孝信 (著)/青木 文鷹 (監修)や、【間違いだらけのTPP:日本は食い物にされる】東谷 暁(著)等がありますので、今回はそちらを情報源として参照してみましょう。

 

これらの書籍では、米国参加によって大きく性格を変えた「TPP」の目的は、主要貿易国である日本を巻き込み、各国の輸出を増やす事であると解説されています。

 

加盟9ヶ国の目的を簡単にまとめると、以下のようになります。

 

◆人口が少なく国内市場が小さい国
(ブルネイ、シンガポール、ニュージーランド)
強い輸出品目があり輸出に依存しており、更なる輸出拡大を期待している。

 

◆1人あたりGDPが1万ドル以下の国
(チリ、ベトナム、ペルー)
「TPP」による価格競争力の上積みで、貿易拡大に期待している。

 

◆1人あたりGDPが2万ドル以上の国
(米国、カナダ、オーストラリア)
輸出拡大が課題で、通貨安誘導と輸出額を増やしたい。

 

そして上記に加え、米国の事情として2010年1月にオバマ大統領が今後5年での輸出倍増を宣言、外需に頼る政策に転換したことが挙げられます。

 

米国には、1993年:日米包括経済協議、1994年〜2008年:年次改革要望書、と国内事情が厳しくなる度に、日本の規制緩和を求め続けてきた歴史があり、続く戦略が「TPP」という位置づけのようです。

 

日本への影響を考える上で、米国が強いにも関わらず未だに参入を実現できていない分野を考える事が重要です。検討した方が良い分野としては、

 

□金融サービス分野(郵政民営化するも郵貯と簡保に参入できず)
□法律・弁護サービス分野(年次改革要望書で日米の法律事務所・弁護士活動を同等にする要求が続く)

 

がまず挙げられます。

 

また、すでに国内議論が続いている

 

□医療サービス分野

□政府調達分野

 

などについても規制緩和要求が強まる事が予想されます。

 

つまり加盟各国の目的は、物・人・サービス・資本・情報の移動の自由化による経済の活性化であり、日本に対する期待は経済大国としての役割と言えそうです。

 

一方で、「TPP」の将来が流動的と思われるのは、加盟各国の利害や思惑が対立したままとなっていたり、最終ゴールである「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」への動きが滞っていたりなど、一枚岩にまとまらない様相を示している点が挙げられます。

 

日本としては、政権の目玉政策として各国の期待に応えるよりも、国民生活の向上の為に、目的を設定すべきでしょう。その上で、規制緩和を進めるべき分野と、守るべき分野を巧みに操りながら、「TPP加盟国」と成長性が著しい国「中国/インド/VITAMIN(ベトナム/インドネシア/タイ/トルコ/アルゼンチン/南アフリカ/メキシコ/イラン/イラク/ナイジェリア)等」との架け橋となって共生を図るという戦略的な動きが必要となりそうです。

 

もしあなたが野田首相だとしたら、「TPP」を最も国益に叶う様に活用するにはどのようにしますか?



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経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。 経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。

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